高度な縫製「ロンT」が出来上がる過程。国内有数の工場
こちらの工場はどんな特徴があるんですか?
うちは古いマシンや古い作り方が得意で
使用する生地も「座布団」という横が円形になっているものを使います。
初めて見ました!普通反物はロールになってますもんね。
そうですね。
でもうちの特徴は筒のまま作っていてTシャツとスウェットが得意なんです。
ロールの良いところは
1つのロールで「S」「M」「L」もクッキーの型抜きみたく型がとれます。
なのでロール1つあればどんな大きさにも横も広げることができて
自動裁断機もあるので自動で作ることができます。
ものすごく大量生産にむいているのでみんなロールにいきました。
こちらが丸胴という「座布団」です。
丸胴のTシャツは、胴体部が筒状の1枚の生地からできています。
なぜ多くがこの作り方をやめたのか?
座布団1つでは「S」「M」「L」を作ることが出来ないからです。
様々なサイズを作るには大量の座布団が必要になってきて手間がかかるので
みんな効率のいいロールにいったんです。
座布団は自動化できない
ニットなどはちょっと広がったりするので
その状態で型抜きをすると横が切れてしまうことがあり
そうなると丸胴ではなくなるから機械には任せられません。
なので手作業になります。
少し大きいなという時は目視で調整していきます。
まさに職人技!
なので手間も時間もかかるけど手じゃないと作れないんです。
では、Tシャツが出来る工程を見ていきましょう!
素材は
世界最高峰のオーガニックコットン「アルティメイトピマ」を使用。
写真ではわかりにくいですが黄色い紙に“型”が書かれていて、
この大きさで後身・前身・右左 右左 右左 で2,5人前が出来ます。
生地にはつかないスプレーをしていきます。
手で裁断していきます。
より細かい裁断をしていきます。
薄手でもポリエステルとかツルツルしてるとちょっと難しい作業になります。
綺麗に裁断されました。
やっぱり刃は手入れされるんですか?
はい!しょっちゅう飛ぶんですよ。
次は縫製になります!
今は外コットンで中ポリエステルとかありますが
どんな素材の糸で縫製するんですか?
昔の古い作り方はポリエステルとかない時代の糸なので
コットン紙でやるのをこだわっています。
糸の素材がコットンなのかポリエステルなのかによって
一緒に経年変化したりもします。
このTシャツは綿100で作っていてかなりレアです。
ただ欠点として“弱い”というのがあるが
しっかり縫製でカバーしています。(強くなっているということ)
この糸は何番手ぐらいなんですか?
30番手になります。
覚えやすいのが
重さが一緒の物を何ヤードまで伸ばせるかっていうので番号付けしています。
なので1ポンドの物を100ヤードまで伸ばせたら100番になり
20ヤードまで伸ばせたら20番。
ということは同じ重さなのに短いということは太いことになり
この覚え方で考えると上の方が細いというのが分かります。
なので太いという言い方よりかは長いというのが正しいですね。
同じ重さで長く出来てるかどうかの話になります。
Tシャツの糸は
20番手の双糸を使用していて
アルティメイトピマの天竺編み(てんじくあみ)
巻き縫いで脇と横の部分を縫っています。
Tシャツの順番は前身頃・後ろ身頃の型を合わせるのが一番最初なんですか?
型合わせからやって横繋げて裾をやって最後が袖になります。
裏側からここに袖を入れていきます。
そして難しいのは「曲線」です。
しっかり手で引っ張ってカールしないようにしながら縫っていきます。
ほつれが出ないようにロックして縫ってあります。
袖が付く前で裏返しの状態で
袖が出来たら完成です。
裾や首のリブはまた別のミシンで作ります。
首のリブはまた別の編み方になり
1種類の生地ではできていません。
2つの生地を用意しないといけなくミシンも3台必要になってきます。
デニムは1個のミシンで出来るので
工房みたいに1人のハンドクラフトマンが作るというのが出来るが
こういうニットになるといろんなミシンが必要になり
これだけ揃えるのも大変で覚えなくてはなりません。
袖を付けています。
今、音が変わりましたが二重ステッチですか?
前だけやります。
肩に同じ素材のアルティメイトピマのテープを付けていきます。
Tシャツを作る過程ででる余ってる縦の生地をテープに使っています。
テープが無いバージョンもあるんですか?
Tシャツとかテープが無いのもあります。
普通Tシャツは横は伸びるけども縦は伸びません。
この伸びない縦のテープを使うから伸びにくくなります。
このテープを入れることによってTシャツの肩が伸びない(補強をしている)
首の後ろが伸びにくくなって丈夫になります。
完成しました!
こちらは海外の物で
メイドインジャパンで作って海外に持って行きます。
昔は買い換える文化がそんな無かったので
丈夫に作ろうとそっちに意識が向いていました。
吊り編みとかで編んだら生地自体も頑丈だし縫製も頑丈になります。
コットン糸を丈夫に縫製するのにどんな工夫があるんですか?
ミシンの調子を早くしすぎないで
なるべくゆっくりと時間をかける事ですね。
早くやるとゆとりがなく伸びなくなってしまいます。
順番は身頃とか作って最後にウエストとかリブとかを付けていくのは変わらないんですか?
そうですね。パーツは最後になっていきます。
最後、出荷前の汚れ落としやシミ抜きなどをやっています。
これはミシン油を落としているところです。
これが洋服の形に裁断した状態です。
延反ってことですか?
一旦伸ばして蛇腹折りにして上から切ります。
何枚ぐらい重なっているんですか?
40~50枚ぐらいです。
今は電子制御みたいな感じで勝手にやってくれますがあれとは違うんですか?
あれだとズレてしまって出来ないんです。
なので人が手作業でやっているがとにかく難しいです!
ありがとうございました!